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久保 光太郎; 田中 洋一; 白田 勇人*; 荒毛 大輔*; 内山 智曜*; 村松 健
Mechanical Engineering Journal (Internet), 10(4), p.23-00051_1 - 23-00051_17, 2023/08
福島第一原子力発電所事故後、原子力発電所の外部事象に対する確率論的リスク評価(PRA)の重要性が再認識された。地震PRAでは、システム、コンポーネント、構造(SSC)の相関故障の扱いが非常に重要である。SSCが連関して故障した場合に、事故緩和システムの冗長性に悪影響を与える恐れがある。原子力機構では、SSCの相関故障を詳細かつ現実的に取り扱うために、Direct Quantification of Fault Tree by Monte Carlo Simulation(DQFM)法と名付けられたフォールトツリー定量化手法を開発している。この手法では、地震応答や耐力に関する相関を有する不確実さをモンテカルロ・サンプリングで考慮することにより、頂上事象の発生確率を定量化することができる。DQFMの有用性は既に実証されているが、その計算効率を向上させることで、リスク分析者は複数の分析を行うことができるようになる。そこで本研究では、簡易的な地震PRAのDQFM計算に準モンテカルロ法および重要度サンプリングを適用し、少ないサンプリングで分岐確率を定量化する効果を検証した。準モンテカルロサンプリングを適用することで、中・高地震動レベルでの結果の収束性がモンテカルロサンプリングに比べて一桁加速されることを示すと共に、重点サンプリングの適用により、低い地盤変動レベルにおいて故障確率が低いSSCに対して統計的に有意な結果を取得できることを示した。これらのサンプリング手法の応用による計算の高速化はリスク情報を活用した意志決定におけるDQFMの実用化の可能性を高めるものである。
Tuya, D.; 長家 康展
Nuclear Science and Engineering, 15 Pages, 2023/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)局所的な分散低減が必要な問題や深層透過問題に対するモンテカルロ中性子輸送計算では、計算効率を上げるため一般的にインポータンス関数の評価が必要である。本研究では、局所的な分散低減に対するインポータンス関数を評価するための新しい再帰的モンテカルロ法(RMC法)を開発した。新しいRMC法を1次元鉄平板上体系と3次元コンクリート鉄体系の2つのサンプル問題に適用した。新しいRMC法によるインポータンス関数を用いて計算された分散低減パラメータを用いて、これらの問題に対する検出器応答を評価した。分散低減法を用いたモンテカルロ計算によって得られた結果は、分散低減法を用いないモンテカルロ計算の結果とよく一致した。さらに、分散低減法を用いたモンテカルロ計算は、FOM値で比較において、数倍から10倍の効率化を達成することができた。また、検出器位置の光学的な深さが深くなるほど計算効率が向上することもわかった。
久保 光太郎; 藤原 啓太*; 田中 洋一; 白田 勇人*; 荒毛 大輔*; 内山 智曜*; 村松 健*
Proceedings of 29th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 29) (Internet), 8 Pages, 2022/08
福島第一原子力発電所の事故後、外部事象、特に地震や津波に対する確率論的リスク評価(PRA)の重要性が認識された。日本原子力研究開発機構では、地震PRAのための解析手法として、DQFM(direct quantification of fault tree using Monte Carlo simulation)法を開発してきた。DQFMは、地震応答と機器の耐力に関する適切な相関行列が与えられた場合、解析解や多次元数値積分を用いてミニマルカットセット確率を求める方法では困難であるANDゲートやORゲートで接続された機器の相関損傷の影響をフォールトツリーで考慮することが可能であり、その有用性が示されている。このDQFMの計算時間を短縮することは、規制機関や事業者が実施するPRAにおいて、多数の解析が可能になる。そこで、本研究では、準モンテカルロサンプリング,重要度サンプリング及び並列計算の3つのアプローチで予備的検討を行い、計算効率の向上を図った。具体的には、加圧水型原子炉の簡易的なPRAモデルに対する、DQFMによる条件付炉心損傷確率の計算に準モンテカルロサンプリング,重要度サンプリング,並列計算を適用した。その結果、準モンテカルロサンプリングは、仮定した中及び高地震動レベルで有効であり、重要度サンプリングは低地震動レベルで有効という結果が示された。また、並列計算により、実用的な不確実さ解析及び重要度解析が実施可能であることが示された。これらの改良を組合わせてPRAコードに実装することで、計算の大幅な高速化が期待でき、リスク情報を用いた意思決定におけるDQFMの実用化の見通しを得た。
Tuya, D.; 長家 康展
Annals of Nuclear Energy, 169, p.108919_1 - 108919_9, 2022/05
被引用回数:1 パーセンタイル:29.26(Nuclear Science & Technology)核分裂性物質の系に加えられる変化が固有値に与える影響を評価するには、摂動論と言われる特別な方法が必要である。この研究では、相関サンプリング(CS)法と随伴重み法に基づく繰り返し核分裂確率(IFP)を組み合わせることにより、近似を用いない厳密な摂動理論に基づく随伴重み相関サンプリング(AWCS)法を開発した。この厳密な摂動理論に基づいて開発されたAWCS法は、小さな摂動に対しても非常に小さい不確かさを与えるCS法の利点と連続エネルギモンテカルロ法に対して安定した結果を与えるIFP法に基づく随伴重み法の利点を有しており、摂動計算のための新しい正確な方法を与えるものである。開発されたAWCS法の検証のために行ったGodiva及び単純化されたSTACY数密度摂動問題の解析結果は、参照計算結果とよく一致をした。
久保 光太郎; Jang, S.*; 高田 孝*; 山口 彰*
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(3), p.357 - 367, 2022/03
被引用回数:5 パーセンタイル:64.12(Nuclear Science & Technology)熱水力シミュレーションと確率論的サンプリング手法を組み合わせることにより偶然的不確実さと認識論的不確実さを取扱い可能な動的確率論的リスク評価(PRA)手法は、従来のPRAと比較してより現実的かつ詳細な評価を可能とする。しかしながら、これらの向上と引き換えに膨大な計算コストが発生する。これに対する一つの解決方法は、適切なサンプリング手法を選択することである。本論文では、我々はモンテカルロ,ラテン超方格,格子点及び準モンテカルロサンプリング手法を沸騰水型原子炉の全交流電源喪失シーケンスの動的PRAに適用した。その結果、準モンテカルロ法が仮定したシナリオにおいて最も効率的に不確実さを取扱えることが示された。
長家 康展
Proceedings of Joint International Conference on Mathematics and Computation, Supercomputing in Nuclear Applications and the Monte Carlo Method (M&C + SNA + MC 2015) (CD-ROM), 9 Pages, 2015/04
即発中性子減衰定数をモンテカルロ法で計算する新しい手法を開発した。これは、これまでの-検索アルゴリズムに基づいているが、値の検索について反復は必要ないという利点がある。固有値を値に関するテイラー級数近似で表現し、微分係数を、モンテカルロ摂動計算手法の1つである微分演算子サンプリング法で計算するものである。新しい手法の適用性を調べるために、単純な体系について検証計算を行った。パルス中性子法シミュレーションと値の定義から直接計算した値との比較を行い、新しい手法で計算した値は、パルス中性子法シミュレーションの参照解とよく一致することが示された。
長家 康展; 森 貴正
Journal of Nuclear Science and Technology, 42(5), p.428 - 441, 2005/05
被引用回数:61 パーセンタイル:95.82(Nuclear Science & Technology)相関サンプリング法と微分演算子サンプリング法を用いたモンテカルロ摂動計算に対して核分裂源分布の変化による実効増倍率の変化を評価する新しい手法を提案した。検証のために本手法をMVPコードに組み込んだ。高速体系と熱体系に対して簡単なベンチマーク問題を設定し、これらの問題を用いて本手法の有効性を検証した。結果として、本手法は核分裂源分布の変化による実効増倍率の変化を評価するのに非常に有効であることが確認できた。また、核分裂源分摂動の効果が非常に大きい場合があり、その効果を考慮しなければ反応度変化を正確に評価することができない場合があることも示された。そのような場合においても、新しい手法を用いて核分裂源分摂動の効果を評価することができ、反応度変化の評価は著しく改善される。
Li, Y.*; 加藤 大輔*; 柴田 勝之; 鬼沢 邦雄
International Journal of Pressure Vessels and Piping, 78(4), p.271 - 282, 2001/04
被引用回数:5 パーセンタイル:41.36(Engineering, Multidisciplinary)原研では、破壊評価モデルや数値解析法に新規モデルに導入したPFMコードPASCAL(PFM Analysis of Structural Components in Aging LWR)の開発を進め、これまでに、ほぼコード開発を終えている。本コードには、半楕円亀裂進展評価,破壊基準,焼鈍効果等に新規モデル導入しているが、その他、モンテカルロ解析法やクラッド部の応力拡大係数解析法にも新規の解析技法を開発し導入している。本論文は、解析の信頼性向上と効率化のため、数値解析法における新規モデルや改良点等をまとめたものである。本論文では、以下の項目について紹介している。(1)無限長亀裂の新規応力拡大係数式の作成と導入。(2)クラッド部熱応力による不連続部の応力拡大解析モデルの作成と導入。(3)層別モンテカルロ法における最適層分割及びサンプリング法の開発と導入。(4)その他: 乱数発生法,偏差再計算法等。
長家 康展; 森 貴正
Proceedings of the ANS International Topical Meeting on Advances in Reactor Physics and Mathematics and Computation into the Next Millennium (PHYSOR2000) (CD-ROM), p.13 - 0, 2000/00
複数のモンテカルロ計算の結果より原子炉パラメータの微小摂動量を求めるのは非常に困難であり、古くから相関サンプリング法、微分演算子サンプリング法等が用いられている。特に固有値問題では核分裂源分布も摂動により変化するので、核分裂源の摂動量も評価する必要があり、実効増倍率の摂動量を精度よく求めることは難しい。相関サンプリング法では中川等、北田等により核分裂源の変化による摂動量を評価する方法が提案されている。本研究では微分演算子サンプリング法における核分裂源の摂動量を評価する式を導出し、簡単な体系でその精度を検証した。その結果、相関サンプリング法、微分演算子サンプリング法とも核分裂源の変化による摂動量を考慮すると直接計算の結果とよく一致し、分散は両方法とも核分裂源の変化による摂動量の分散が支配的になるが、若干微分演算子サンプリング法の方がよいことがわかった。
本間 俊充; 笹原 孝*
JAERI-M 93-207, 36 Pages, 1993/10
本報告書は、OECD/NEA主催のPSAC利用者グループの比較問題レベル0に、開発中の確率論的システム評価コードを適用した結果を示すものである。この比較問題は、廃棄物の地層処分施設の性能評価に用いる確率論的システム評価コードの比較検証を目的として提案されたものの一つである。計算には、入力パラメータ値のサンプリングのためのプリ・プロッセッサーコードPREPと不確かさ/感度解析のためのポスト・プロッセッサーコードUSAMOを用い、廃棄物処分システムを構成する各サブシステムモデルは、レベル0の問題設定にしたがってコード化したものを用いた。比較問題の設問への回答の他に、不確かさ及び感度解析を行い、その結果も記載した。
石神 努
JAERI-M 89-190, 66 Pages, 1989/11
本報は、計算モデルの入力データに含まれる不確実さに起因する計算結果の不確実さを解析するためにこれまでに開発されてきた幾つかの手法と、それらをMARCH/CORRALII、TERFOCおよびSPARCの3つの計算モデルに応用した解析例についてまとめたものである。解析例を通じて手法の適用限界を論じるとともに、応用に際しての解析手法の選択に関する考察を行う。
石神 努; 本間 俊充
JAERI-M 89-111, 27 Pages, 1989/09
計算モデルの入力値に不確実さが含まれているとき、その出力値(計算結果)は不確実さを有する。出力値の不確実さに寄与する入力変数を識別するための重要度評価について、新しい計算手法を開発した。同手法は、HoraおよびImanの提案した不確実さ減少の概念に基づいた重要度の尺度を、元の計算モデルに基づきモンテカルロ法あるいは改良型モンテカルロ法を用いて計算するものである。同手法ならびに従来の回帰分析法を、線量予測用計算コード、TERFOC(Terrestrial Food Chain)およびPSA(Probabilistic Systems Assessment)、に適用し、これらの手法の有用性についての比較検討を行った。
中川 正幸; 朝岡 卓見
JAERI-M 8556, 40 Pages, 1979/11
モンテカルロ法を用いて、摂動計算により反応度を求めるプログラムを作成した。コードはMORSEを修正する形で作った。計算は、統計誤差で小さくするために、相関サンプリング法を用いており、Similar Flight Path法と、Identival Flight Path法の二つが選択できる。従来の摂動計算法では、一次摂動項のみ求めていたが、更に二次項まで計算できるように、改良した。本稿では、計算式の導出、反応度の評価法、プログラムの計算の流れ、主要なサブルーチンのフォートランリスト及び、出力例を示すと共に、入力方式が説明されている。
中川 正幸; 朝岡 卓見
Journal of Nuclear Science and Technology, 15(6), p.400 - 410, 1978/06
被引用回数:18反応度を2次の摂動項まで計算できるように2種類の相関サンプリングモンテカルロ法(similar hight path methodとidentical flight path method)を改良した。非摂動系と摂動系の摂動領域を通過した中性子が核分裂により発生する第2世代の中性子も両体系間で相関がよくなるように、サンプリング法及び追跡法に工夫を行った。これらの方法は多目的モンテカルロコードMORSE中に組み込み、得られた反応度の統計的誤差も計算できる。これらの手法を用いて、FCAV-3体系の制御棒価値の解析を行い、その結果標準偏差内で測定値を予測することができた。ここで改良した2つの方法の内SFP法の方が制御棒価値の解析には、より有用であることがわかった。
長家 康展
no journal, ,
モンテカルロ法における摂動計算手法をレビューする。モンテカルロ法を用いた摂動計算手法でよく用いられる相関サンプリング法と微分演算子サンプリング法について解説する。これらの手法を用いても、固有値計算では核分裂源摂動の効果を考慮しなければ精度のよい計算はできないことを説明し、ベンチマーク計算によって実例を示す。更にモンテカルロ摂動計算手法によって原子炉動特性パラメータが計算できることを説明する。